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一言 「とうきょうとっきょきょかきょく」

初出: 2004/10/20 T.Shirai
更新: 200/10/21 T.Shirai

 さて,早口言葉の代表格の一つの「東京特許許可局」なるものはどうやら実在しない(特許庁が許可する)らしいのだが,それはそれとして特許の話です.

 私と2003年度専攻科卒業の三浦君と冨岡先生の3名を発明者とする特許「ばね装置」(特許公開2004−169795)が2004年6月17日に公開されました.これに関連した用件があったので,特許庁の特許電子図書館(IPDL)で”発明者:白井達也”で検索してみたところ,ビックリ,他にも私が発明者である特許が3件,公開されていることが判明しました.

 ・半田供給装置と半田液面変位測定方法 ('96年出願,'98年公開)
 ・トラバースコントローラ ('95年出願,'97年公開)

 この2件は記憶に残っています.ソニー(株)に在職していた際に連名で出願した特許です.技術系の会社にはよくあることですが,職場に特許出願のノルマがあります.一つの職場で1年に何件の特許を出願しろ!というものです.正確には,出願準備を行えというのがノルマであり,社内の特許部門に書類を提出するだけでノルマは満たされ,(微々たる額ですが)報奨金が出ます.特許部門が弁理士と相談し,これは出願・審査請求する価値があるな(出願および審査請求にはお金が掛ります)と判断されて初めて特許庁に出願・審査請求されます.上記2件は,てっきり出願されなかったのだろうと思っていました.私も開発に関与しましたが,あくまでサブのお手伝いとして関係しただけなので,発明者と言われると,ちょっと恥ずかしい.ちなみに微々たる報奨金は,みんなで飲み食いして消えました.

 ・トルクセンサ ('91年出願,'93年公開)

 これはかなり意外です.九州工業大学大学院の修士の学生として在籍していた際に,共同研究先の(株)ハーモニック・ドライブ・システムズに私の研究成果をA4で3ページくらいにチャチャッと書いて渡したものです.実験装置を作ってくれたお礼として,指導教官が「向こうにそのままあげよう」と仰って丸々渡したと記憶しています.てっきり末端の私の名前なんて入っていないと思っていたのに,名前を入れておいてくれたんですね.ごく基礎的なセンサの信号処理に関するテクニックだったので,特許として通らないだろうと高(たか)を括っていました.

 という訳で,気が付いたら合計4件の特許の発明者になっていました.

(追記) 2005/02/22
 「ばね装置」の特許ですが,2004年11月16日付けで特許庁より拒絶されました.具体的に言うと,「この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有するものが容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない.」という拒絶理由通知書が送られてきます.「ああ,もう駄目だ」と諦めるのはまだ早い.「そんなことはない」という意見書を60日以内に返送し,それを読んだ特許庁の審査官が納得してくれれば特許として認められるそうです.大雑把な話でいうと半分くらいの審査請求に対して拒絶理由書が送付され,そのうち7割くらいが通るらしい.さぁ,特許事務所の弁理士さんが立派な意見書を書いてくれました.審査官は納得してくれるでしょうか? 乞うご期待.

 興味のある方は特許庁の特許電子図書館の検索ページ
http://www2.ipdl.ncipi.go.jp/begin/be_search.cgi?STYLE=refresh&sTime=1098257967
で,ワードに”白井達也”と入力して検索して下さい.他にも数件,検索結果が出ますが,それらは同姓同名の別人による発明です.

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