●マイクロムーバ(おいん鈴鹿 2003年4月5日(土),6日(日))

初出:2003/04/09 T.Shirai
更新:2003/09/09 T.Shirai

最新版の作り方: (PDF: 9MB)

(What's New!)マイクロムーバの省配線のヒミツ」を更新しました. (2003/09/09)

<はじめに>

 ここでマイクロムーバ(あるいはリモコンムーバ)と呼んでいるメカニズムのオリジナルアイディアは,本ページ最下端で書籍を紹介している三井康亘氏の考案した「ダイレクト・ドライブカー」です.リモコンムーバは鈴鹿工業高等専門学校・機械工学科の白井(つまり私)が「ダイレクト・ドライブカー」をベースにして改良を行ったものです.
 さて,マイクロムーバにはタイヤが存在しないにも関わらず,平面の上を自由自在に走り回ることができます.構造は極めてシンプル.一般的に模型自動車の類は,高速・低トルクな小型モータの出力を適当な回転数まで減速すると同時に十分な駆動トルクを得るために減速器(ギアボックスなど)で減速します.減速された回転出力でタイヤを回転し,地面とタイヤとの間の摩擦力で車体を推進します(ここでトルクから力への変換が行われる).三井氏は「機構を極限まで簡単にしよう」と考えて最終的には”減速器もタイヤも省略”してしまいました.乱暴なように見えますが,これが成功しました.地面とモータの軸(タイヤに相当)は転がり接触ではなく,滑り接触となります.モータ軸の表面は金属であるため,ゴム製のタイヤに比べて,地面との間の摩擦係数が小さいためです.もしゴム製のタイヤ並に摩擦係数が大きかったら,減速器を介さないモータでは,十分な駆動トルクを発生することができず,モータは回転することができなかったでしょう.

 本マイクロムーバがオリジナルの「ダイレクト・ドライブカー」と異なるのは以下の2点です.
 (1)「ダイレクト・ドライブカー」の本体はアルミ製の部材で連結しているのに対して,マイクロムーバでは接着剤を用いて固定している.
 (2)省配線化(リモコンと本体との間の電線の数を減らす)
 「ダイレクト・ドライブカー」は三井氏の発案した”アクリルロボット”の一種(アクリル・モーターカー)です.アクリルロボットの特徴は見た目の美しさです.半透明でカラフルなアクリル材料とメカニカルな雰囲気を醸し出すアルミ材料と金属ネジを組合せたことで,”美しいメカニズム”を演出しています.その反面,アルミ材料の切り出しや穴あけには手間と道具が必要です.マイクロムーバは(私が一人で10台も製作するという事情はありましたが),できるだけ簡単に作れるようにしたいという点を優先しました.あまり本質的な改良ではありませんが,三井氏のアクリル・ロボットの思想には反するので,弁明の意味も含めて明記しました.
 後者の省配線には2つの理由があります.一つはやはり製作を簡単にしたかったためです.もう一つは,有線リモコンの線を極力細くすることで操作しやすくしたいという理由です.線が邪魔になって操作し難くては面白くありません.

 省配線の原理については,こちらのページに詳しく記述しましたのでご一読下さい.

<マイクロムーバの構造と作り方>

[作り方説明書(A3サイズ)のダウンロード] (PDF: 9.3MB,Canvas8: 39MB

<Web版つくり方の説明書>

(材料)
  
(1)アクリル板(厚さ2mm)
  (2)モータ(マブチモータ:RE-140Rモータセット):2個
  (3)トグルスイッチ(3P,ニュートラル付き):2個
  (4)配線材(フラットケーブルなど)
  (5)単三電池:2個

(工具)
  
(6)アクリルカッター
  (7)定規(金属性が良い)
  (8)アクリル専用接着剤
  (9)ハンダコテとハンダ
  (10)ニッパー
  (11)ドリル(6mmと4mm)
  (12)棒やすり

(作り方)

(1)アクリル板を下図のように切る
 
アクリル板表面と裏面をアクリルカッターで削ります.溝がアクリル板の厚さの3分の2くらいになったら机の角などを利用して折り曲げて下さい.パキッと折れます.断面のバリは棒ヤスリで削ります.

A4版 PDF: 4KB) A3サイズのプリンタをお持ちでない方はこちらをどうぞ.

(2)アクリル板を接着する
 4枚のアクリル部品をセロハンテープで仮固定します.接合個所にアクリル専用接着剤(液体)を流し込んで固定します.アクリル専用接着剤はあまり大量に使用しない方が綺麗に接着できます.

(3)モータを本体に取り付ける
 モータセットに付属の両面テープでモータを本体に貼り付けます.本体が少しだけ床から浮くようにして下さい.

(4)スイッチをコントローラに取り付け,モータと電池ボックスに配線
 スイッチと電池ボックスをコントローラに取り付けて下さい.電池ボックスはモータセットに付属の両面テープで貼り付けます.次はモータとコントローラの配線です.ハンダコテを使ってハンダ付けします.左右のモータの赤い線は束ねて1本にします.電池ボックスの電極は図のように上側は小さい金具,下側は大きな金具を使用します.ただし,電極と電線は先にハンダ付けしてから電池ボックスに取り付けて下さい.電池ボックスに付けたままハンダ付けすると,熱で電池ボックスが溶けてしまいます. さぁ,電池を入れて,リモコンムーバを動かそう!

<競技フィールド>
全てB1サイズです.
PLUS社のPB-1やアルテ社のIREPANE B1などに入れて使用して下さい.

○サッカーフィールド
 (PDF: 108KB, Canvas8:15KB)

○迷路(難しい)
 
(PDF: 7.5MB, Canvas8: 94KB)

○迷路(簡単)
 
(PDF: 7MB, Canvas8: 97KB)

(参考資料): 三井康亘氏の著書
「アクリルロボットの工作」,      日本放送出版協会,昭和52年.
「アクリルモーターカーの工作」,  日本放送出版協会,昭和55年.
「アクリルテクノロボットの工作」,日本放送出版協会,昭和58年.
(残念ながら全て絶版.入手は困難です)

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