「発表時の細かな注意」

初出:2003/2/13 T.Shirai

・基本的な注意

(1)発表は聴衆と向かい合うこと
 相手の目を見て話すのが礼儀です.従いまして,
  [原稿を読んではいけない]
  [スクリーンではなく会場に向いて話す]

 この2点は非常に重要です.

(2)発表時には「名前」,「所属」,「タイトル」を言うこと.

(3)事前のチェックを忘れずに.
  会場で使うプロジェクタと発表に使うノートPCを使って,
  ・操作方法を確認する.
  ・画面がスクリーンに表示されるか確認する(特にムービー).
  ・電源のコンセントは足りているか,届くか.
  ・準備したPowerPointはきちんと表示されるか.
   :色が不適切で図が読み難かったり,作成時のデスクトップPCと発表用ノートPCの画面解像度の違いによって図や文字が適切に表示できなかったりすることが頻繁に発生します.
 のチェックをして下さい.先生方が準備して差し上げるのではありません.トラブル発生で発表が大失敗するか否かは各人の責任です.

(4)笑いはネタで取れ!
  会場をワッと笑わせることができたら大したものです.聴衆との間に一体感が生まれた証拠で,その後の発表も楽しい気持ちで最後まで聞いて貰えるでしょう.でも勘違いしてはいけません.幼稚なギャグは最悪です.聞いている人たちの顔は笑っていても,心の中では「ダメダメ君だな」と思われてしまいます.言い間違いや操作ミスなどの失敗で笑いを取ることもあるでしょう.この笑いは軽蔑の笑いです.つられて本人もニヤニヤ笑ったりしたら恥の上塗りです.これで本人が満足ならば構いませんが,5年間の勉強の集大成がその程度の重みしかないとしたら,関係者各位の時間を無駄にしたことになります.反省が必要.
 

・質疑応答

(1)相手が何を知りたいのか,その先を読む.
 忘れてはいけないのは,相手に研究内容が伝わらないのは”あなたの発表がヘタだから”です.この点を絶対に忘れないで下さい.
 「なんでこんな変テコりんな質問をするんだ?」という学生がいますが,大誤解です.
 非常に簡単な質問こそ要注意です.質問者は答えを知っていて質問してくることがあります.”あなた”がそのことを知っているのかを確認する場合と,会場にいる学生達に理解できていないと判断した場合とがあります.
 「Aとは?」という質問に「Bです」,これでは不十分です.「Bです.なぜならばCだからです」のように,議論を膨らませて下さい.

(2)どんな質問をされたのかメモしておこう.
 研究を進めている本人は見落としていること,知らないことを教えてくれている場合が多くあります.今後の研究の方向性が90度変わる可能性もあります.あとでジックリと検討するために,必ずメモを取りましょう.同じ研究室のメンバー同士でメモを取ると良いですね.

(3)分からないことは答えられないのだけれど...
 「う”」.答えられない質問では言葉を失います.まったく見当違いなことを答えるのも良くありませんが,「分かりません」では分かりません.何か答えて下さい.

(4)簡単に妥協してはいけないけれど,意地を張るのも程々に.
 研究テーマを全く無価値なものと否定する意見を言われる場合もあります.簡単に諦めて,ああ,もうこれ以上,議論するのも面倒くさいとサジを投げてはいけません.研究テーマを面倒見てくれた沢山の教官・技官・先輩方に失礼です.何かしらの意義があるはずです.普段から研究テーマの本質とは何かという点について考えていないから答えに窮するのです.その逆に「こうしたらどう?」と言われた時.その方向性が明確に間違っている場合は”なぜ”ダメなのか,明確な理由を付けて返答して下さい.もし検討の余地のある意見ならば,ありがたく受け入れましょう.「今後の検討課題とします」と答えてはどうでしょうか.

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